【九州の戦国武将】『龍造寺家兼』リアルチート爺、龍造寺躍進の礎を築いた傑物

九州で活躍した戦国武将をササっと軽く紹介するこのコーナー、ふか~いところは自身で調べる事をおススメします。ということで、第一回目の今回は佐賀のチート爺「スーパー剛忠さん」こと龍造寺家兼を取り上げます。

水ケ江龍造寺家初代「龍造寺家兼」

肥前の虎、龍造寺隆信を世に放った龍造寺中興の傑物。

出家してからは剛忠と名乗ります。

や、やべえ、大内がここまで攻めて来やがった。家兼、お前ちょっと追い払って来いよ。俺は城に籠ってるから。

と、主家である少弐の殿様にいわれ、周防山口からはるばる攻め寄せた杉さん率いる大内軍を佐賀の神崎郡で撃退(田手畷の戦い)、この戦いで大いに名声を得た龍造寺家兼。近所じゃ知らない者がいないほどの実力者となります。

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龍造寺家兼は龍造寺の十四代隠岐守康家の子として生まれ、兄には胤家、家和がいます。宗家は兄の一族が継いでいくのですが、龍造寺家兼の名声が高まるなか十八代の胤久から宗家の実権を譲られ、分家の水ケ江龍造寺を起こし水ケ江城を居城とします。宗家の血筋は村中城に拠り、村中龍造寺と名乗るようになりました。

名将、龍造寺家兼

田手畷の戦いで敗れた大内義隆はあきらめません、もはや守護大名としての力を失いつつある少弐にとどめを刺すべく再度肥前へ侵攻します。このときも龍造寺家兼、家門父子が、神崎郡三津に展開した大内軍の大将陶興房の本陣を急襲して撃退。度重なる大内氏の攻勢を退けたことで、龍造寺家兼の存在は少弐家中においてもはや主家を凌ぐ勢いとなっていきます。

負けても負けても大内氏は諦めない。肥前侵攻における敗戦に業を煮やした大内義隆は、ついに自ら兵三万を率いて肥前へ本格侵攻を開始。本気で怒った大内軍は強く、少弐・大友連合軍はぼっこぼこ。さすがにこれには抗えないと判断した家兼は、主君である少弐資元を説得して勢福寺城を退去させます。

そうやって大内氏との和議を成し、ひとまずその場を収めます。少弐はこの戦で佐賀郡、神崎郡、三根郡といった東肥前の大半を失陥しました。

居城勢福寺城を追われた少弐資元は多久氏の梶峰城に入ったのですが、翌年には大内氏が少弐にとどめを刺すべく再侵攻。これには肥前国人衆ももはや抵抗できずに大内氏に従い、さらに肥前最強の軍団を率いる龍造寺家兼は傍観を決め込んでしまいます。

その結果、少弐資元は梶峰城を追われ、失意の中で自害して果てる事になりました。

九十を過ぎて一族の仇を討ったスーパー爺さん

少弐氏が一時的に滅亡し、肥前守護は大内へ。さらに村中龍造寺から胤栄が肥前守護代になるなど、このときがまさに肥前国人領主の一人でしかなかった龍造寺の絶頂期、一つのピークでした。

後に龍造寺隆信によって更に勢力を拡大するのだけど、この後の躍進はここが基礎になったのです。

さて、ついに息絶えたかに見えた鎌倉以来の名家である少弐氏ですが、一族に一人生き残りが居ました。それが少弐冬尚。のちに隆信に「オヤジの仇!」と討たれる人物なのですが、この時は流浪の人。肥前国内には少弐復活を望む声もあり、家兼さんも思うところがあって肥前守護に復帰できるよう手をまわし、肥前少弐氏を復活させるわけです。

このときの役員人事といいますか、執行部の面子は執権に次男の龍造寺家門、その補佐に江上元種、馬場頼周を据えました。まさに龍造寺が筆頭ですね。

しかしながら、少弐冬尚の中には家兼が大内に通じて資元を見殺しにしたという不信感があり、そこへ龍造寺が大きくなり過ぎたことを危険視した馬場頼周の讒言もあって龍造寺一族の粛正に動き出します。馬場頼周、政員父子の謀略にゴーサインを出した少弐冬尚、その策によって龍造寺の一族から主だったもの6人をが討ち取られ、さらに数人の一門の者が討ち死にし、居城を奪われるという壊滅的な損害を被りました。

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このとき家兼は筑後の蒲池氏を頼って落ちのびますが、龍造寺の復帰を望む国人たちの導きで挙兵、水ケ江城を奪還し馬場頼周、政員に仇討の合戦を挑み見事に討ち取りました。このとき、龍造寺家兼は九十二歳

そもそもが、大内と激闘を繰り広げていた田手畷ですら七十六歳とかですからね、七十代後半、八十代で大戦の指揮をとって勝利し、さらには九十過ぎて城を奪われ国を追われ、そこから復活して仇を討ち滅ぼすってどんだけだよって話。

最後には一族で僧門に入った円月を還俗させよと遺言して死去する。この円月こそが家兼の曾孫であり、後の龍造寺隆信なのだ。享年九十三歳。

後に語られる島津、大友、龍造寺の九州三国志、その一角である龍造寺の躍進は家兼から始まったといっても過言ではないのです。

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