『戦国城郭を行く「福岡県の城郭」』レビュー!福岡県内で220の城を網羅した戦国のバイブル

戦国時代の遺構やゆかりの地を巡る、いわゆる聖地巡礼が趣味。歴オタ旅情編を標ぼうする拙者にとって城跡というのは絶対に外せない象徴的なランドマークなのですよ。ただ拙者が求める城跡というのは、いわゆる織田さんや豊臣さんが最後に辿り着いた境地というか、あの石垣に白い城壁、とどめに天守ドーンの城じゃないんですよね。

福岡県内220の城郭解説と、更に多くの城情報。圧倒的過ぎる!!

さて、日本が戦乱に包まれた戦国時代、全国各地には様々な勢力が自らの生き残りをかけて争い合っていたんです。けどね、九州はもう鎌倉時代の後半あたりからしっちゃかめっちゃかやってたんですよ。いわゆる中世っていわれる頃、その頃から修羅の国だったわけです。

そんな中世の時代に福岡県内に存在した城郭を網羅したのがこの本『戦国城郭を行く「福岡県の城郭」』なのです。価格は税別3,333円。歴史紀行というか、九州の戦国末期、島津、大友、龍造寺の九州三国時代にまつわる場所を旅するという、拙者の目的には絶対に必要なものなので鋭意緊急導入することにした。てか、もう購入して活用している。

福岡県内だけでも1,000を超える城があると言われていて、普段は訪れる人もなく、険しい山を登り切ったら目の前に空堀の跡や土塁、堀切、といった土でできた城の痕跡が苔むしてるわけです。たまに猪がでてきてビビらされたり、蜂に追いかけられたりもする。そんな地味すぎて見向きもされない城郭群。

福岡なら福岡城があるじゃんという人がいるかもしれないけど、それは違うのです。あれは城というより政庁であり御殿なわけです。一寸先は死、頼る相手を間違えたら一族滅亡みたいな、そんな緊張の中で生きた国人領主たちが自らの一族の守りを託した城。あるいは、目的のために築かれ使い捨てにされた城。石垣もなく城壁もなく天守もない、だけどもそこには敵を防ぐ様々な工夫がなされ、そこで暮らした人々の生き様と思いと、紡がれた歴史ドラマが詰まってる。それが戦国の城。戦火にまみれ血を吸った大地もそのままに、ひっそりと隠れていたりするのです。

だからこそ尊くて儚くて、中世の武将たちと場所に立ち過去の出来事や人々に思いを馳せる。意識をリンクし、歴史の流れに自らを同調させる。リアルに歴史の連続性を体感できる瞬間……それこそが歴オタ旅情編の醍醐味。

そんな城跡を求めて旅をしているので、こういう本が出版されているのはヒジョ―に有難い。

縄張り図が死ぬほど助かる

山城が特にそうなんだけど、周りは木々に覆われていて方向感覚さえ無くなることがあるんだよね。おまけに遠くを見渡せないから、現地では城跡の全容が全く分からない。そんな時に有難いのが縄張り図。

行きたい城が決まれば、図書館で教育委員会が発行している調査資料からコピーすることが多いんだけど、いちいち城の資料を探すのが大変だったりするんだよね、図書館まで往復1時間くらいかかるし。それを解決してくれるのがこの本、城の概要と共に縄張り図も掲載してくれているのだ。

これをコピーしてファイルにクリップ、あとはコンパスと国土地理院地図でも持って行けば大抵のことはどうにかなる。 注)コピーはあくまで個人使用に限るよ、人にあげたりしちゃダメだからね。

さらに言うと、この縄張り図に書かれている線には色々と種類があって、城の構造が分かるようになってるんですよ。そもそもこの書き方は、近代的な陸軍の斥候が敵の陣地をメモするときに使われた技術。なので高低差や、斜面の方向、塹壕(堀)の深さや傾斜、土塁の有無などがしっかり書き込まれているのです。

まあ、読み方はいずれ解説するとして、まずはこの縄張り図を見ただけで城攻めの演習が出来るようになることが入門編かもしれないね。事前に縄張り図で城攻めシミュレーションをしてから現地に入ると、楽しさ倍増するから。

お城の説明だってこの通り、ちゃんと参考文献も記してくれているので知識オタにもありがたい。拙者は知識面は人に任せて、人が調べた結果や資料を利用して現地に行くのが好きなほう。頭脳より行動なのだ。

「考えるな、感じろ」の人なのだ。

更に多くの城情報

最後には福岡県の城郭一覧表が付属する。この表は掲載されている220城以外の城について、城名と所在、簡単な説明が書かれている。自分が行った城跡が出てきてニヤリとするもよし、これを元に訪ねてみるもよし、とにかく戦国時代の空気に触れてみたいなら戦国の城、特に山城がおススメ!! に行け、そして感じるがいい戦乱の息吹を。

そのために必要なのがこの本、福岡で戦国オタを名乗るなら必須のバイブルだ。

出版「福岡県の城郭刊行会」

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